【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

「クララ――――もう大丈夫だから」


 頭をポンと叩かれたかと思えば、クララの目の前を通り過ぎていく複数の人影。

 金色に靡く髪の毛に、青い瞳。
 コーエンやフリードの付き人たちが、熊の周りを取り囲んでいた。


「良かった、間に合ったね」


 そう口にしたのはフリードだった。
 馬から滑るようにして降りながら、呆然と立ち尽くすクララの隣に立つ。


「殿下……」

「遅くなってごめんね。足跡や糞を辿って、熊がこの辺をうろついていることは分かってたんだけど、中々場所が掴めなくて」


 まさかこちらに現れるとは、とため息を吐きながら、フリードは汗を拭う。


「物凄い咆哮が聞こえて、『もしかしたら』と思って急いで駆けつけたんだ。良かったよ、クララが無事で」

「でも、まだ熊はそこに!イゾーレが……コーエンが戦っていて」

「それも大丈夫。すぐに片が付くよ」


 そう言ってフリードはゆっくりと前を向いた。

 コーエン達は熊の注意をイゾーレから逸らすように動きながら、ゆっくりと熊へにじり寄っていく。熊はイゾーレから離れ、コーエン達を睨みつけながら喉を鳴らす。

 そしてコーエンが剣を構え、熊へと向かっていったその時――――熊の頭上に何かが勢いよく堕ちてきた。

 ドシンという大きな音。熊の背中で何かがキラリと光る。
 次いで、コーエン達の剣が、熊を切りつけていった。


「的確に急所を狙え、バカ者!」


 ドスの効いた怒号が響き渡り、クララは目を見張る。見れば、熊のすぐ至近距離にカールがいた。