それから数日、私たちはヘルセンで楽しく過ごした。海は綺麗だし、新鮮な海鮮料理は本当に美味しい。海の街での生活に、連れてきて貰っただけの私はとても満足している。

 とある理由で結構な長い間、部屋に籠もっていたことを、この光溢れる場所で人生にある貴重な時間を無駄にした事を反省した。

 これからは何かに落ち込んだとしたら、旅に出ることにする。旅先って、どんなに嫌な事があったとしても、新しい驚きや刺激に溢れていて、心の中に嫌な事を占める割合はだんだんと小さくなり、世の中にはきっともっと良いことは沢山あると思えてしまう。

 大昔から、傷心旅行って言うもの。こういう事かと、我が事で納得してしまった。

 何かとお忙しい立場の騎士ランスロットには、何と言っても王太子の護衛という大事な任務がある。従姉妹のおまけである私と、何かを話す時間はなかなか取れなかった。

 私に甘いラウィーニアは、連れてきている護衛はランスロットだけではないんだからコンスタンス様にお願いすれば良いって言ったんだけど、それはなんか嫌だった。