出来るだけ早くに結婚式をすると二人が決意したのなら、それに纏わるお話の展開はとても早かった。

「本当に……ドレスが間に合って、良かったわ……」

 新婦の控室で結婚式用の白いドレスを着た私に、親族として参列するために来ていたはずのラウィーニアは大きな息をつきつつ疲れた声でしみじみとそう言った。

 有名なメゾンのお針子さんたちに特別料金を支払い、出来うる限り仕上がる時間を急がせて、本日早朝に時間に余裕を持ってこの教会に届くはずだったドレスが、橋の上に馬車が倒れ込み通行不能になってしまうという思いも寄らない事故に巻き込まれ到着が遅れてしまった。

「氷の橋って、きっと透明で綺麗なんでしょうね。私も、見てみたかった」