「……ねえ? なんだか、変じゃない?」

 妙な気配に不安を感じて私が声を出す前に、隣に座っていたラウィーニアは状況を察していたようだ。彼女は耳を澄ませるようにして、何かを窺うように息を潜めた。

 私が住んでいるハクスリー伯爵家の邸から、王城に進む道はそこまで複雑な経路ではない。

 賑わっている市街の大通りを抜けて、王都の中心部に守られるように位置するレジュラスの王城は、大きな湖に囲まれているためその外周を橋がある場所まで大回りしなければならないという程度。