黒のパーカージャケットを着た(そら)くんの前に(りゅう)くん以外の暴走族氷浦(ひうら)19人が立ち塞がる。

(そら)久しぶり。かっこよくなったね」
「だけど」
 白坂(しろさか)さんは余裕の笑みを零す。

「この人数、一人では倒せないね」

「っ…」

(そら)く…」


「余所見してんじゃねぇよ」


 私はグィッと右腕を引き寄せられ、(りゅう)くんに唇を奪われた。

 (りゅう)くんは唇を離す。


「これでお前は俺の正式な姫だ」


 (そら)くんの前でキスされたくなかった。
 だけど、これでいいんだ。

「じゃあ行こうか、姫」

「はい…」

 リアシートに跨ると(りゅう)くんは前のシートに跨る。

雪乃(ゆきの)、待ってろ!」
「ぜってぇ諦めんなよ!」


「必ず俺が迎えに行くからな!!」


 私は泣きながら笑う。