「なんかバキッて言わなかった?」
「あぁ、ノブ古りぃから壊れたかもな」
「年の為、少し開けとくか」
私達は屋上に入ると扉を少し開けたまま柵まで歩く。
「皆既月食、始まったみてぇだな」
初めて見た……。
月が影に徐々に覆われて光が消えてく……。
「月、影に完全に覆われたな」
あ、赤い光が月を照らして……。
「3日後」
「俺がお前をあの月のごとく照らしてやる」
「だから」
琉くんは私を本気の目で見つめる。
「姫」
「約束の場所にぜってぇ来いよ」
「うん…21時に行くね」
「21時?」
琉くんに聞き返された私はハッとして自分の唇に右手を当てる。
しまった…。
“じゃあまたその日の21時にここで会おう”
白坂さんにそう言われたこと、記憶失ってるなら覚えていないはずなのに言っちゃった……。
「デート当日も今も長時間一緒にいるのに一度も頭痛起きねぇの」
「やっぱ、記憶全て思い出してたからだったんだな」
あ…バレちゃった……。
「文化祭の一般公開日に思い出したのか?」
「……うん」
「約束の場所って裏道だよね…?」
え、抱き締められ……。



