そして、自動販売機の前まで駆け、一人で泣く。

 自動販売機の光が眩しい。

 あ、グレープジュース……。

 今の私には(そら)くんが眩しい。

「お嬢ちゃん、今一人?」
 酔っ払いのおじさんが話しかけてきた。

 え、え、何?
 こ、怖い……。

 私は無視をする。

「泣いてるの?」
「何か嫌なことでもあったのかい?」
「おじさんが(なぐさ)めてあげようか? お嬢ちゃん♡」

 ガシッ。
 酔っ払いのおじさんに腕を掴まれた。

 力強い腕。
 振りほどけない。

 あぁ、もうどうでもいいや。
 何処へでも連れて行って。

 ブォオン
 ブォオン
 ブォオオオンッ!

 走ってくるバイクの眩しい光が私達の全身を照らす。