私の秘密


私が人生で性について興味を持ったのは中学生の頃だったと思う。








その影響は多分兄だ。










私の家は親が共働きで家にいることが少なかったので、家にいるのはいつも兄と私二人きりが多かった。











でもそれは、兄が高校に上がる段階で変わった。













兄は昔から顔が良く、なにかイベント事がある度クラスの女の子から手紙やチョコを貰ったり、家の前まで来る子までいたくらいだった。













それが、高校生にもなると、私が家にに帰ると度々綺麗な女の人が兄の部屋に入っていく姿を目撃するようになった。











兄自身もその自分の見た目の美しさを自覚した上で色んな女の人を連れ込んでいた気がする。











私が中学一年生の秋の事だった。












私が学校から帰ってきて、2階に上がると微かに兄の部屋から声が聞こえてきた。











喋り声じゃないのは確かだったので、近寄ってみると、ドアが少し開いていた。












恐る恐る近づいてそのドアの隙間を覗いてしまった。












全部は見えなかったけど、ベットの上で甘い声と顔で幸せそうにする女の人と、多分兄が抱き合っていた。












なにか見てはいけないものを見た気がして、家にいるのは居心地が悪かったので外に出た。













恋をしたわけでもないのに、鼓動がとっても早かったし、なんだかむずがゆい気がしてならなかった。











しばらく公園に行き、ブランコに乗りながら考え事をしたが、直ぐに飽きて近くの本屋さんに入った。










何気なく、いつもの好きな少女漫画コーナーを見て回った。








しばらく見てると、いつものコーナーとの境目に来ていた。











いつもはみないような少し過激なコーナーに来てしまったみたいだった。












見ないように目を背けたつもりだったが、どうしてもさっきのあの女の人の顔や声がチラつき、自分の好奇心を抑えられずに1冊の漫画を手に取ってしまった。











でも、それだけをレジに持っていくのにはさすがに気が引けたので、自分がいつも読んでいる少女マンガの新刊も重ねてレジへ持っていった。












幸い、レジは女のおばさんだったのでそこまで罪悪感もなく買えたが、少し気まづかったのを覚えてる。












外に出るともうだいぶ暗くなっていたので家に帰ると、そこにはさっきの女の人はいなくなっていて、代わりにシャワーを浴びて髪を乾かす前の兄が洗面所を占領していた。













手も洗わずに、早急に2階の自室へ駆け込むと、何か悪いものをこれから見るかのような雰囲気でさっき買った2冊のうちの、1冊を手に取った。










勿論、好奇心で買ってしまった方を。













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気づけば、20分ほど経過していて、時間に気づいたのは兄が髪を乾かし終わって2階の自室に戻ってきた音がしてからだった。








初めて読んだTL本の感想は、なんだか見ちゃいけないものな気がしてずっと心臓がドキドキしてたし、今もずっと変な感じがした。










始めてみる男の人と女の人の表情や行為に脳みそが追いつかなかったけれど、一方で幸せな気持ちにもなった。









私が目撃したような軽い関係のようなものではなく、その漫画の中で描かれていたものは付き合ってお互いをとても大切にし合いながら、お互いをもっと親密に愛する行為に見えた。










それに少女マンガはいつでもドキドキするけど、TL漫画は、ドキドキもするし、なんだか深い意味で幸せな感情になった気がした。










それに、知らなかった。こんなこと。








多分まだ浅いことしか分かってないのも分かっていたけど、多分本当に好きな人としたらとっても幸せなことなんだろうな、ということだけは分かる。








なんとなくこの時からTL漫画に目覚め、











ちょくちょく地元の本屋さんに寄っては、気になるTL本と何となく普通の少女漫画や小説などと一緒に購入することが増えた。









偶に、レジの定員さんがいつものおばさんではなくわかめの男の人の時は少し恥ずかしかったけど。













相変わらず、男の人と話すのは苦手だし恋愛もしたことは無かったけれど、TL漫画の中だけはとっても幸せな気持ちになれたし、徐々にいつかはこうなりたいという願望も芽生えた。













はずだった。