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「はぁ~~~づがれだぁぁぁ」

「疲れたのはこっち!ほら寝そべってないで立ちなさいよ」



「元はと言えば、あ・な・たのせいでこんな目に遭ってるんだからね?分かってる?」

怒り気味にそう伝えたのに、本人は全く気にする様子を見せない。
プールサイドに横たわったまま、足だけプールの水につけてじっと空を見上げている。



「…無視するサイテー男は、夏のあっつい日差しに焼かれてそのまま蒸発しちゃえばいいんだっ。そうだ、うん、それがいい」

「ふっ、いや俺液体じゃないっす」

「氷だって溶けるんだから、人間だって照らされ続けたらいつか蒸発するかもしんないじゃん」

「しょーもねー」


ゆるく笑って、そのまま目を閉じる。
は?まさかとは思うけど…この人寝た?


「ねー!彼方も掃除やってってば!本当に私怒るよっ…」


しゃがんで顔を覗き込もうとすると、いきなりぐいっと腕を掴まれてバランスを崩す。
彼方に抱きとめられて、ただでさえ汗だくなのに、さらに汗がじわっと滲んだ気がした。