春待ち遠し〜短編集〜

同窓会も終わり、幹事が二次会へなだれ込むように指示する。

タケは優子を抱える。

優子は耳元で囁く。

『二人で抜け駆けしよっか?』

小さな声。

思わずドキッとした。

同時に奈美の顔が浮かんだ。


『勘違いしないでね。』

『わあってるよ』



『康夫、俺は優子を送ってくよ。』


優子を背負い、クラスのみんなと逆方向へ行く。