「……終わった?蓮見」
隣に座るりっくんが、私に優しく問いかける。
いまのりっくんは紛れもなくいつものりっくん。微笑みかけるその顔が、誰より優しいから。
最後の一問。これを終えたら帰ろう、明日のテストに備えようって言われて。
わからないわけではないけれど、なんだか寂しくなってシャーペンを動かす手を止めてしまっていた。
明日はテスト最終日かつ数学のテストがあるのだ。
テストは明日で終わり、勉強会は今日で終わり。
ちょっとだけ浸ってしまった。
色々あったけど、私は一週間前とは別人のように数学ができるようになったし、幸せだったなぁ、なんて。まるで死ぬ前にみたいに、たった一週間の思い出に浸ったりして。