「私は全然、モヤモヤしたりもするよ。りっくんこそ、誰かにイライラすることないでしょ?」


「ん?俺?そうだなぁ、俺は今めちゃくちゃイライラしてるよ?」


「……え」



予想もしていなかった返答に、驚くのも束の間、隣から手が伸びてきて私のほっぺがぎゅっと掴まれる。


そのままりっくんのほうへ顔を向けさせられて、顔だけ向き合う形になって。


目の前にある綺麗なりっくんの顔は、いつも通りなんだけど……一瞬で変わった。


今のりっくんはあの時と同じ。"オオカミ"なりっくん。相変わらずその瞳に吸い込まれそうになる。


そうだ、"完璧すぎるりっくん"だけどこの顔も持っているんだった。いつもとは違う、ちょっとだけキケンなりっくん。