わたしの推しはオオカミ王子さま




当たり前に私の突然の嫌悪感にりっくんは気がつく。多分これは私がわかりやすすぎた。一瞬で顔に出た自覚がある。

覗き込んでくるりっくんに、今はかっこいい!とか推し!発光!とか言ってもられず、大野くんへのモヤモヤが勝ってしまった。りっくんに勝つってどんだけよ、あいつ。




「一緒の放送担当の子が、嫌なヤツで……」


「蓮見って人に対してそういう感情持つんだ?」



りっくんは私のことをなんだと思っているのでしょうか。確かに喜哀楽汐架と言われてはきたけれど。きっと世界を探せば誰に対しても怒りの感情が湧かない菩薩のような人はいるんだろうけど、残念ながら私は菩薩には該当しない。


というかむしろ、菩薩は私よりりっくんだよ。りっくんこそ、誰かに怒りとかイライラとか、負の感情は持ってなさそう。


りっくんが怒ってるのなんて見たことないし。誰に対しても穏やかで優しくて、逆に完璧すぎるくらい。