わたしの推しはオオカミ王子さま




「わ、私のですう!ごめんなさいね!」



確かにすぐ返事をせずじっと顔を見てしまった私も悪いけど、言い方ってもんがあるでしょ。

表情だって、そんな敵意剥き出しにしなくたっていいじゃん。



もう少し優しく言ってくれたっていいのに。

ほぼ喋ってないけど、私は大野くんに対して攻撃的になったことないよ。



どうしてこうもトゲをぶっさすように言ってくるわけ。第一今日もなんもしてないってのに!


奪うように大野くんの手からコンビニの袋を取り返す。


取り返す、なんて本当に奪われたみたい。
いま私が大野くんに奪われているのは穏やかな心だ。



機材の横の机に置いておいて、今からの楽しみのメインを忘れて出ようとするなんて大概私もやらかしてるけど、大野くんだってもう少し言い方考えてくれたっていい。



こんなめんどくさい仕事やらされて、イライラするのはわかるけど私に八つ当たりしないでほしい。


いつも不機嫌オーラがでてて、やりにくいったらありゃしない。