わたしの推しはオオカミ王子さま



「でも毎日毎日幸せそうじゃん、朝から"推し"を拝めて」

「それはまぁ、そうなんだけど」

「ほらね」



那奈がふふんと得意げにしてみせるけど、そうじゃない。


確かに私にとってりっくんは推しであり、朝から少し会話を交わすのだけでも幸せを感じすぎて倒れそうになるんだけど。


でもいくらりっくんが推しでりっくんと話したいからって、わざわざ遅刻することはない。


逆にりっくんが遅刻ギリギリじゃなくても、私だけはこのギリギリ生活から脱出することはできないと思う。無念。


私だってギリギリにならずに済むなら余裕をもって学校に来たいよ。私の中の天使ちゃんだってそう言ってる。


むしろわざと遅刻ギリギリに家出てるんならそっちの方が助かる。事実になればいいのに。