わたしの推しはオオカミ王子さま



同じように引っ張られて、もう一段階。

今度は完全に、きみとゼロ距離。



密着する。私の頬に、りっくんのシャツが触れる。



とくんとくんと、ゆっくりな心臓の音が聞こえてくる。

きっと、私の意味がわからないくらい早い心臓の音も、聞こえてしまっている。



離れようにも、私の背中にまわったりっくんの手が離してくれない。



私を包み込むように手が回されて、腕の中に包み込まれているような。離してくれないのに、全然力が入っていないの。

包み込むように優しくて、少しでも力を入れればまた壊れてしまうような、そんなふうに、優しくて。



完全に包囲されて身動きは取れなくて、私はまたされるがまま、硬直するしかないのだ。