わたしの推しはオオカミ王子さま




「みんなの王子、もいいけど……汐架にそう思われ続けるのは嫌だな、って」



さらっと汐架呼びを続けるりっくん。

それだけでおかしいくらいドキドキしてるの、慣れなすぎて全然ダメなの。



りっくんの顔を見れなくて下を向く私の顔が、強引に上げられる。
腕を引っ張られて立つような状態で、りっくんと向かい合う形になる。


私はもちろん、りっくんの顔を見るために見上げるなんてできないけれど。


できないけど、そんなの今のりっくんには通用しなくて勝手に顔を上げられる。


顎を持ち上げられて固定されたら、どれだけ目を合わせないようにしてもりっくん自体が視界に映ってしまう。


いつもの私なら自分から、さりげなくりっくんのことを視界に入れてたって言うのにね。




「……無防備で隙しかなくて、あのカフェオレと同じくらい甘い」