わたしの推しはオオカミ王子さま



これ以上赤くなるわけないくらいすでに顔は真っ赤だって自分でもわかるのに、さらに顔の温度を上げるようなことを言う。



初めて言われた、"かわいい"なんて。



ほんと、どうしちゃったの。どうしちゃったの、りっくん。



ドキドキして止まらなくて、恥ずかしすぎてりっくんと目なんか合わせられないまま、恐る恐る口を開く。




「り、りっくん、どうしちゃったの……?なんか変だよ……」


「……戻っちゃった。まぁいいや。別に何も、変じゃないよ。いつも通りだよ、みんなが知らないだけで」




軽く、小さく口角を上げたりっくんが私の隣の席に腰をかける。
椅子、ではなくほとんど立った状態で、机にもたれかかるように。


優等生で真面目なりっくんは、絶対こんなことしない。机に軽く座っちゃうのなんてみんなやるけど、りっくんがしてるのは見たことがなかった。


私が目を覚ましてから、今まで理解できる事態が何一つ起こっていない。

理解できないことばっか続いてる。