わたしの推しはオオカミ王子さま



「……り、璃玖……お願い、離れて……」


「よくできました、汐架ちゃん」



子どもをあやすように頭をポンとして。

意を決してきみの名前を呼べば、離れてくれたりっくん。


だけど目の前にいるりっくんはまだ楽しそうに笑みを浮かべていて、きっとこんなんじゃおわらないって私でもわかる。


今私と対面してるりっくんは、みんなの推しで王子なんかじゃなくて、オオカミみたいだ。ひ弱な私はすぐに、飲み込まれてしまいそう。



「……真っ赤だよ、かわいーね」