わたしの推しはオオカミ王子さま



「なんかされるとでも思ったの?」


「は、はい……こちらに近づいてくる那奈様が、あまりに不気味で……」


「ははっ、何よそれ。不気味なのはこっちよ。なんで?なんであの天下の遅刻女王がこんな時間に教室にいるわけ!?ついに生徒指導からのお呼び出し!?」




まくしたてるように一息で言い切った那奈に、どこまで説明をするべきか。



夢が現実かわからないことが起きている、とでも言うべきですか?贅沢な一日が夢だとしか思えなくて考えてたら寝れずにこの時間に学校来ちゃいました!とでも言うべき?



うーん、そうだなぁ。もし夢であったとしたら、私のこっぱずかしい妄想じみた夢なんて言えたもんじゃない。




「えと……なんというか、考え事してたら寝れなくなっちゃった、というか……」


「汐架が!?あの汐架が考え事!?あの能天気女王汐架が!?」