わたしの推しはオオカミ王子さま




「でもすごいよねえ、りっくん。数学終わった直後にこんな清々しい顔してる汐架はじめて見た」



それは本当に、那奈の言う通り。


美味しいご飯やスイーツを食べてしまえば一瞬で忘れるけど、数学が終わった直後の絶望感といったら。

まるで手応えがなく、追試確定、見たくもない平均の半分以下の赤い点数がすぐ目に浮かんで。


テストは終わったのに、追試という悪魔から逃げ出せない永遠のループ。
また今回も悪魔のループにハマってしまう、と直後は地獄のような表情をしていたはず。


けれど今回は今にもスキップをしてしまいそうなくらい心も体も軽い。


解けない問題といえば、先生が100点を取らせないように仕込む意地悪応用問題だけだ。


他は全て解けたし、あれでまた赤点で追試になったら私はもうこんな高偏差値バケモノ校なんてやめてやる、こっちから願い下げ、それくらいだ。



高校生の私がこんなにもすっきりと清々しい気持ちで数学のテストを終えられるなんて思いもしなかった。

多分、りっくんが先生になったら私全国模試トップになれるよ。なってほしい、そしてりっくんに対してキャーキャー言う女子生徒に紛れたい。……留年する気なんですか、私。