「あーあ、りっくんに負けた。りっくんに汐架取られた」
いつの間に私のところまで来ていたのか、わざとらしく目の前でうなだれる那奈。
那奈が下を向いているせいで表情は見えないけれど、これは絶対に本心ではない。
那奈がそんなこと言うはずなくて、ただからかいにきただけだってわかってる。
小さくため息をついて、那奈の頭をコツンと軽く小突く。
「そんなこと思ってないくせに」
「え〜??バレたぁ〜?」
パッと顔を上げた那奈は心の底から楽しそうな顔をして、不気味度はこの間、私が朝早く登校してきた日と同じくらい。
ニヤニヤして、本当に楽しそう。外から最大級に楽しんでやがるぜ。
なにが「バレたぁ〜?」よ、鈍い私でもわかりますよーだ。



