わたしの推しはオオカミ王子さま




ふと、思った。というかずっと思っていた。

なんの条件もなしに放課後私と一緒に勉強してくれて、わからないところがあればすぐに教えてくれて。


りっくんも自分のためになるから、とは言っていたけど、そうだとしても何かお礼をしたい。



こんなに楽しい時間を過ごさせてもらった、お礼も。





「何かない?何かしてほしいこと、とか」





顔を上げて、りっくんの目を見て、ハッとした。



ああ、私がやったと。

いま、きっと私がりっくんのオオカミスイッチを入れてしまったと。


りっくんの目が楽しそうに笑ってる。

何か企んでるような、意地悪を考えてるような、そんな目。やっぱり慣れなくて、怯んでしまいそう。