絶対、落としてみせるから。


「幻覚じゃないよ」


寝転ぶ私に、そんな声が降ってきた。



「いやいや、まさかまさか。仮にこの状況が本当だったとして……まぁ絶対ないですけれど。どうして私が高橋先輩と保健室で二人きりになれるというご褒美を手にすることになるんですか?」



ぶんぶんと首を振りながら答えると、"高橋先輩に見える彼"は苦笑した。



「ご褒美って……。それに、俺は俺だよ。高橋玲央」

「嘘です。だって高橋先輩は、自分のことを"俺"とは言いません」



彼は「あー、もう」と頭を掻きむしって、いきなり立ち上がった。



「え……」



一瞬の出来事だった。


彼の身体が傾いたかと思うと、気付けば彼は、寝転ぶ私に覆いかぶさるような体勢になっていた。



「ちょ……!?」



彼はそのまま私の目をまっすぐに見つめて、ふー、とゆっくり息を吐き出す。


「……これで、信じてくれる?」


作り物ような美貌が、私の視界を埋め尽くす。


澄んだ青い瞳。スッと高く通った鼻筋。
薄い唇。


目にかかるサラサラの前髪。


ふわりと香る爽やかなシトラスの香り。



「俺は高橋玲央だよ」

「ほ、本物……?」

「ああ」



彼はスッと自らの腕にある生徒会長の腕章を見せた。


じゃ、じゃあ、これは正真正銘、高橋玲央先輩……ってこと?