「高橋先輩行っちゃったぁ……」 「退散ー」 「はぁ、眼福」 先輩の姿が見えなくなると、ぞろぞろと退散していくファンクラブの人たち。 私も拝むのをやめて、先輩が去っていった方角に一礼してから教室に戻った。 高橋先輩、私の自慢の推し。 すべてにおいて完璧な超人。 神。 今日も生きててくれてありがとうございます。 私は心のなかで、何度も何度も唱えたのだった。