学園では王子様扱いされている兄だが、こういうところを見ると、なぜそんなイメージを持たれ、もてはやされているのか理解しかねる。


焦った兄は、「そうだ!」と何やら思いついたようで、バッと着ていたTシャツを脱いだ。

「え、何してるの?」
「この方が香水がよく香るかもしれない!」
「……は?」

意味不明なことをぼやき、自信ありげにタンクトップ姿になる兄の姿に、静かにため息を吐いた。


【もうすぐ着くよ!】というメッセージが送られてきたところで、用意していたクッキーの存在を思い出し、台所に戻った。