「(声もしないし、まさか幽霊とかじゃないよね!?)」



どうする?一か八かで声を掛けてみる?「お困りですか?」って聞いてみる?

いや、でもカーテンの向こうからいきなり声が聞こえたら、相手の人もビックリするよね……。じゃあ静かにしておく方がいいかな?


頭の中で思考をグルグル巡らせる。

もう漫画どころではないのはお察しで、スマホの明かりが布団から漏れないように、画面はオフにしている。



「(このままじゃ、せっかくの授業サボりも台無しになっちゃうし……ここは声をかけるしか、)」



そう思った時だった。



「安藤――安藤って安藤美奈?」

「え、あ……はい」