布団の中の、しかも下の方でゴソゴソしていたから、さく先輩に「なに?俺を襲おうとしてるの?」なんて誤解されたけど……。
そんなことで心折れない、鋼メンタルな私。
「もういつでも大丈夫ですから」とまるで映画監督が「アクション!」と言った時にカチンと音が鳴るカチンコのようなジェスチャーをして、先輩を見つめたまま黙った。
「はあ、やりにくい……」
「(いーから続けて!)」
「……じゃあ、美奈ちゃん。これから、ちょっと真面目なお話をするからね?」
「(おお、なんかシリアスな漫画の世界観……!)」
さく先輩は私を見つめたまま、片方の手を私のほっぺに添えた。
温かな手に安心して、思わずスリスリと自ら頬を寄せてしまう。
そんな私の行動を、さく先輩はため息をついて見た。