「いやっ、怪我させちゃったし、俺が連れて行くよ、」



「あ?なんか文句あんの?」




いつも以上に殺気だっている想ちゃんに、萎縮する。




「…い、いや、ねえけど」



渋々後退りする先輩。



「ド下手なやつが、アタックとか打ってんじゃねえよ。くそだせえ。」



こ、こわい。



「行くぞ。」



近づいてくる想ちゃん。


座り込む私の膝と腰に手をかける。



「ちょ、待って、」



宙に浮きそうになる体に戸惑う。



「…何。」


想ちゃんのめんどくさそうな表情。



「何しようとしてるのっ」



「お前を運ぼうとしてんだけど。」



「た、立てるよ!」




こんな体育館で私のことお姫様抱っこなんて、しちゃった日にはもう大パニックだよ。



…想ちゃんのファンはすごく多いんだから。




「…立てるもんなら立ってみたら?」



すっと元の体勢に戻って、立つ私を待つ想ちゃん。