もちろん、胸の大きさは気になる。
しかし私が一番怖れているのは、胸自体のことよりも、自分が胸にコンプレックスを抱いているという事実を他人に悟られることだ。

話の中で「胸」「バスト」「カップ」「乳」「おっぱい」「π」という単語がでてくる度にびくびくせねばならぬ。

口の端がひきつってやしないか、伏せ目がちになってやしないか。そして適度に相槌を打ち、なおかつ話の中心からは距離を置き(特にどこのメーカーのブラがいいか、とかの話題は非常に困る)、さりげなく話題の方向転換を計らねばならない。我ながら狡猾かつ滑稽なまでの必死さである。