#妻たちの逆襲

よし、こうなったら!

と思い立ったのでスマホを片手に電話をし、

どうやったら仕返し出来るか作戦を立てる。

決行日は金曜日に決定。

それまでの数日は自分の心を殺して

勝に言われるがまま行動するの。

いい嫁演じてますよ?

妊婦で辛いのに頑張って専業主婦を完璧に

こなしてますよ?と余裕な気持ちを抱えて。

じゃなきゃ辛くなるから私が。

そして来たる金曜日。

朝、勝より早く起きて洗面、朝食の準備。

「おはよう」

と起きてきた勝に声を掛けても

返事は返ってこず。

気にせず顔を洗って食卓に座った勝に

アジの開きとほうれん草のお浸しを並べる。

勿論白米と味噌汁は忘れずに。

無言で食べて、食べ終えたら席を立ち

洗面所に向かう勝を目で追い、

食べ終えた食器を流し台に持っていく。

食器を洗ってる途中身支度が終わったのか

玄関の扉が閉まる音がした。

食器を洗い終えて、ここでいい妻は終了。

予め書いておいた置き手紙を食卓に置き、

荷造りを開始する。

手紙の内容は

「母の体調が悪いので実家に帰ります。

また連絡します」

勿論母親の体調は悪くは無い。

アリバイ工作としては実家が1番だと

母親には連絡済だ。

荷造りも終わったので

火の元と電気だけ確認して

1番お気に入りなミュールに足を通す。

これは結婚する前

お仕事頑張ってるご褒美として

奮発して買ったハイブランド物。

お洋服も勿論お気に入りのワンピース。

くるっと玄関にある姿鏡の前で1周回って

ちょっと気合いの入った格好に思わず微笑む。

「いってきまーす。」

誰も居ない空間に一応声を掛け

玄関の扉を開け家を後にした。