「好きだ。富柚子」 「……私も。朱李先輩が好きです」 ゆっくりと、二つの影が重なる。 大輪の雫は夜空に溶けて、消えてゆく。 永遠のような一瞬。 瞬くような夏の夜。 短夜に交わされた口づけは、二人を静かに包み込み、闇夜に溶けて消えていった。 了