ねぇ、先輩。


「美味しい……!」


リンゴ飴を食べる私を、先輩が優しげな眼差しで見つめている。

あまりに見つめられるので、身体に穴が開きそうだ。


「あの、先輩……そんなに見られてると照れます」


それでも逸らすことなく、まっすぐに見つめてくる先輩。


「朱李先輩……?」


そう呼んだ瞬間、先輩はバッと視線を逸らした。
同時に手で隠された頬は、ほんのり色づいている気がする。


「急に呼ぶな。心臓に悪い……」
「ご、ごめんなさい」


謝ると、先輩はクシャッと私の頭を撫でた。

いつかの日もこうして撫でられた気がする。

きっとこれは先輩の照れ隠しなのだ。


「先輩。私、こうして頭撫でられるの、嫌じゃなかったですよ?出会ったあの日から。撫でられるとむしろ安心します」
「……っ。お前全然反省してねーだろ」


素直に気持ちを言っただけなのに、なぜだかまた怒られてしまった。


「マジふざけんな……」


そう言ってまた私の頭をクシャリと撫でる。

「ふざけてないですよ。私はいたって本気です」
「……分かったから口を塞げ。これ以上ドキドキさせんな、バカ」