なぜ私がこうして先輩と一緒に、麗涼祭に来ているかというと。
本当は六花ちゃんと来る予定だったけれど、あのあと先輩に誘われたからだ。
誘われたことを話すと、六花ちゃんは「もしかして彼氏?誰?」とにやにやしていたけれど、深く追求はせず「いいよ。彼氏と行きな」と快く言ってくれたのだ。
本当にありがたい。
「何が食べたい?」
訊ねられて、屋台を見渡す。
屋台は全て学園の生徒が経営していて、さまざまな食べ物が売られていた。
「リンゴ飴、食べたいです」
我ながら無難過ぎるかと思ったけれど、先輩は「分かった」と言って私の手を引いた。
急に繋がれた手に、心臓の鼓動が速まる。



