「お前が好きだ」

ゆっくりと先輩は告げた。

吸い込まれそうな瞳には、私が映っている。

「ずっと考えてたんだ。ここからの景色を、お前に見せたいって。保健室で会ってから、毎日お前のことしか頭になくて。また、会えないかなっていつも思ってた」

紡がれる言葉を、一言一句聞き逃さないよう集中する。

「サボらなくても会えるようになりたいんだ、俺。もっと他の所にも行きたいし、今みたいに綺麗なものを一緒に見たい」

「だから……」と先輩は続ける。



「俺と、付き合ってくれ」



シンプル且つまっすぐなその言葉に、微笑んでコクリとうなずく。

「私も。会いたかったです、先輩に」

先輩の目が僅かに見開かれる。その顔を見ながら、私は続けた。

「───私も先輩と同じ気持ち、です」

先輩の顔が、今まで見た中で一番柔らかく綻ぶ。


「やべ。めっちゃ嬉しい……」


照れ笑いを浮かべる先輩は、そう言って静かに、額に口づけを落とす。



天から降り注ぐ陽光は、ただまっすぐに二人を照らし続けていた。