「そういや、お前なんで保健室いたんだ?またサボりか?」
問われて、顔面キャッチしたことを思い出す。
色々あったせいで、痛みはどこかに飛んでいってしまったようだ。
「今回はちゃんと怪我です。まぁ、怪我といっても大した怪我ではないんですけど」
「顔か?キャッチミスしたのか?」
────なぜ分かるのだろう。
「当たり?」と口角をあげる先輩。
読心術でも心得ているのだろうか。
「保健室戻るか?」
先輩の提案に、首を横に振った。
「だってまだ、来栖さんたちがいると思うので」
「それもそうだな」
うん、と納得したようにうなずいた先輩は、突然私の身体をひょいと抱きあげた。
「な、何するんですか……!?」
声を上げる私に、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「今から授業戻るのも中途半端だし、このままサボっちまおうぜ」
「だ、だめですよ……!」
首を振った私に、先輩は軽くチョップをする。
「何言ってんだ。この間堂々と一時間サボったのは、どこのどいつだっけ?」
「なっ……!」
私を抱えたまま歩き出す先輩。



