ねぇ、先輩。


そうしてしばらく歩き、薄暗い場所まで辿りつく。

「あの……先輩、そろそろ……」

先輩はストン、と私をおろした。
先輩の表情は、あかりがないせいで、よく見えない。

「……先輩?」


その瞬間、先輩が私の横の壁に、荒々しく手をついた。
思わずビクリと肩が震える。

先輩は壁に手をついたまま、前に体重をかける姿勢になる。
いわゆる、壁ドン状態。

ふー、と先輩の息が耳にかかった。


……もしかして私、怒られる?
何か悪いことをしてしまった?


ただならぬ雰囲気に、身体が縮こまった。
こめかみを汗が伝う。

じっと、先輩の言葉を待つ。
足が震えて、怖かった。だけど、逃げ出したくても捕われていて逃げ出せない。