ねぇ、先輩。


「気持ち悪い。なんで染めてんだよ」

罵声を浴びせる男の子と、その視線の先にいる白い髪の男の子。

そして、ソファーのそばで唇を噛み締め、うつむく来栖さんの姿だった。

思わず足が止まる。

三人は、私に気付いていないようだった。

「そんな真っ白な髪、見たことねぇよ。日本人じゃないんじゃね?」

次々と酷い言葉をぶつける男の子。

椅子に座った白銀の髪の男の子は、怒ることもなく、泣くこともなく、ただ静かに聞いていた。


……こんなの、ない。


どうして容姿のことをここまで言われないといけないのだろう。

暴言を吐く男の子も、椅子に座る美しい男の子のことも私はよく知らない。

だけど。

この状況が、とてつもなく許せなかった。


気が付けば、私の足はまっすぐにその男の子のもとへ向かっていた。