ねぇ、先輩。




「もう体調大丈夫なの?」

教室に戻ってきた私をみてすぐに駆け寄ってきた六花ちゃんに、私はうん、とうなずいた。

「保健室から、六花ちゃんが走ってるの見えたよ。流石だね」

六花ちゃんは照れたようにはにかんだ。

「ありがとう」

あたたかい風が窓から入ってきた。
肩で綺麗に切り揃えられた六花ちゃんの髪が、風にのってサラサラと踊る。
それと同時に、ふんわりと甘い香りがした。

「なんかいいにおいがする」
「髪のオイルじゃない?」

六花ちゃんが自分の髪を一房掴んだ。

「あ、たぶんそう。すっごくいいにおい」
「この間新しいヘアオイル買ったんだよね。嬉しい」

にっこりと笑う六花ちゃん。
本当に可愛い女の子だなと改めて思う。