わたしはそういう価値観で生きてないし。健康で文化的な最低限度の生活が送れれば良いぐらいの感覚でいるし。そのぐらい神官様も知っているでしょうに。
 そもそも、自分で高給取りって言っちゃうあたり、神官様って本当に……。


「そういう女性は多いと思いますので、これから先も是非、積極的に情報開示なさると良いと思います」


 苦笑しながらそう言えば、神官様はキョトンと目を丸くした。


「いえいえ。こんなこと、ジャンヌ殿にしか言えませんよ。言って本気にされたら困りますから。だって、私が結婚したいと思うのはジャンヌ殿だけですし」

「――――はぁ?」


 結婚? 交際ですらなく結婚⁉
 神官様は色々ぶっ飛んでる人だけど、この冗談はきつい。わたし、前世で結婚を破談にされてるんですけど?


(本当、何処まで本気なんだろう?)


 飄々とした表情で笑う神官様をチラリと見上げつつ、わたしはこっそり唇を噛んだ。