神殿で暮らし始めて一週間が過ぎた。


「――――今日こそ休む! 寝る! 何なら家に帰りたい!」

「そこをなんとか! 今日は休日で、普段より参拝者が多いんですから!」

「だから嫌なんですよ!」


 わたしは毎日、なんやかんや言いながら、神官の真似事を続けている。

 森に住んでいた頃は昼過ぎまで眠っていたのになぁ。侍女やら神官様に起こされるもんだから、随分早起きになってしまった。


 おまけに、一度朝食を作ってやったのが運の尽き。翌日以降も毎日厨房に立つ羽目になっている。


(だって、神殿の料理って本当に脂っこいんだもん)


 聖職者って精進料理を食べるもんじゃないの? なんて思うのはわたしが転生者だから。
 或いは日本と西洋の違いなのかな。
 肉も魚もめちゃくちゃ食べるし。何なら食べ過ぎじゃない? って思うぐらい、献立に組み込まれている。


(きっとお布施が多すぎるんだ)


 そのせいで、食費に振り分けられる予算が無駄に多くなっているし、予算は余らせちゃいけない精神が働いているに違いない。
 あの握手会は絶対回数を減らすべきだと思う、マジで。


「――――夜会?」

「ええ」


 朝食の席。
 神官様がわたしの問いかけに頷いた。

 彼は相変わらずわたしとマリアの部屋に入り浸り、一緒に朝食をとっている。
 わたしが作る朝食なんて、ご飯と味噌汁レベルの粗食だけど、彼はそれが気に入ったらしい。毎日「美味しい、美味しい」って言いながら、わたし達と食事をしている――――まぁ、嘘を吐いているだけかもしれないけど。