「騒々しい。一体何の用です?」


 取り繕うのも煩わしい。ベッドの上に腰掛けたままそう尋ねると、神官は軽く目を見開いた。


「まさか、まだ眠っていらっしゃったのですか? ……こんな時間まで?」

「そうですよ。安眠妨害もいいとこです。こちとりゃ折角朝寝坊できるようになったんですから」


 神官っていう生き物は、さぞや規則正しい生活を送っているのだろう。彼等の周りも、品行方正な人間で固められているのだろう。
 だけど、わたしがどんな生活を送ろうともこの男には関係ない。誰にも迷惑かけてないんだし。まあ、わたしに育てられたマリアには拷問みたいな環境かもしれないけど。


「ああ、非難するつもりはないんです。単純に羨ましいなぁと」

(嘘吐け)


 毎日一分のズレすらなく、同じ時間に起床してそうな顔している癖に。どこをどう取ったら、わたしみたいな生活を羨むというのさ。そんなんじゃ完璧なイケメンが霞んじゃうでしょう?