「もちろん。護衛騎士はきちんとついていますよ。信心深く、剣技にも優れた、よりすぐりの精鋭達です。
それに、これからはジャンヌ殿もいるでしょう?」

「わたし?」

「ええ。さっきの捕縛、痛かったなぁ……」


 神官様は、そう言って満面の笑みを浮かべる。
 くそぅ、まだ根に持ってやがる! 普通に話しているから忘れてくれたのかと思ったけど、どうやら違ったようだ。腕をさすったりしてめちゃくちゃ厭味ったらしい。満面のをキープしているのがかえって不気味だ。


「ジャンヌさん、大丈夫だよ。みんなとっても優しいよ! お菓子とか、飲み物とか、リボンなんかもプレゼントしてくれるの! お礼に手を握ったら、涙を流して喜んでくれる人もいるし。マリアと握手するために、何度も何度も列に並ぶ人もいるんだよ!」

「ああ、そう」


 いや……それ、聞けば聞くほど不安になるんだけど。
 本当に大丈夫なんだろうか?


「まあ、善は急げ。行きますよ」

「へぇい……」


 ため息を一つ、わたしは神官様のあとに続いた。