「とにかく! 貴方は金輪際、この部屋に入らないでください!」


 杖を一振り、神官様を部屋からほっぽり出す。


「ちょ! ジャンヌ殿、この輪っか外してください! これじゃ歩けません! 手だって動かせませんし」

「そんなの自業自得でしょう? それ、わたしと同等以上の魔法使いじゃないと外せませんから! せいぜい侍女や他の神官たちから白い目で見られてください」


 ドアを閉め、ため息を吐く。
 神官様の声がうるさい。防音魔法を施して、ぐっと大きく伸びをした。


(ほんと、何なんだろう)


 ここまで拒否されているのに、わたしに構う理由がわからない。
 ……いや、嗜虐心が掻き立てられるのかもしれないけど、それでも。


「目、完全に覚めちゃったじゃない」


 これじゃ二度寝は難しい。
 わたしはもう一度ため息を吐いた。