(眩しい……)


 寝返りを一つ、目をこする。

 変なの。そんなことを思うのは、前世以来。
 だって、深い森の中には大して光は差し込まないし、昼でも夜でも大抵カーテンを閉めているんだもの。


(眠い)


 今は一体何時ぐらいだろう?
 朝という概念が失われて久しいから、体内時計が全く働いていない。少なくとも、ここ最近の睡眠時間より短いことは間違いないと思う。だって、全然眠り足りないもの。布団を目深に被り直し、二度寝を決め込む。

 が、何故だか中々寝付けない。


(なんか、布団がいつもよりふかふかしている)


 綿が凝り固まったせんべい状態じゃないし、おひさまの光をたっぷり浴びた香りがする。そんな布団で寝るのは、現世の母親が生きてたときが最後だ。枕も普段と高さが違うし。背中のあたりが妙に温かい。


「ん……」


 その瞬間、わたしは思わず目を瞠った。
 背後から聞こえてきた低く掠れた声音に嫌な予感がし、一気に意識が覚醒する。