めんどくさいが口癖で、気づけば日がな一日眠ってばかりのわたしでも、度が過ぎれば限界は来る。


(お腹空いた……)


 ベッドの中で寝返りを打ちつつ、己の身体から鳴り響く切ない音にため息を吐く。
 胃の中が完全に空っぽだ。喉も渇いたけど、生憎と冷蔵庫(擬き)の中には、腐ったチーズぐらいしか入っていない。
 これまでは安全に飲める水や食べ物を数日おきに確保していた。だけど、マリアが居なくなってからは、最低限生命が維持できたら良いと思って、買い物も在庫管理も適当だった。サボった分のツケが来てしまった形だ。


(まずったなぁ。すぐに手配しないと)


 事は緊急を要する。わたしは急いで紙片を用意し、欲しいものを書き連ね、綺麗に小さく折りたたむ。それから杖で一叩きすると、紙片はすぐに目の前から消えてなくなった。

 これでよし。今頃は街にある馴染みの問屋に届いていることだろう。

 手紙のやり取りがネット――――前世並の速さで出来るのは、魔女や魔法使いだけの特権だ。ついでに、前処理さえ終わっていれば、手紙だけじゃなく、物品や人だって転移できる。ネットスーパーや宅配、出前みたいなものだけど、人力で運ぶより余程早い。自分で買いに行かない分、手数料が掛かるけど、それでも体力が温存できるし、好きなだけ家に引きこもれるのが有難い。