「……っ、痛いですねぇ」

「そうでしょうねぇ」

「痛いですねぇ」

「言っとくけど、わたしは謝りませんよ」


 大きなため息を吐けば、彼は諦めたように小さく笑う。


「また来ます」

「もう来なくて良いです。いえ、来ないでください」

「また来ます」


 言い返してたらキリがない。口を噤めば、一体なにを想ったのだろう。わたしの指先に、神官がチュッと口づけた。


「……!? は!? ちょ、何やってんの!」

「また来ますね、ジャンヌ殿」


 ウットリと瞳を細め、神官はわたしの頭を優しく撫でる。


(何!? 何なの、この男!)


 わたしは幼児じゃないっつーの!
 っていうか、これじゃアイドルじゃなくて、質の悪いホストじゃない!
 そんなことされても嫌なだけ。前世の――――幸せだった頃の思い出がフラッシュバックして、辛くなるだけだっていうのに。

 それでも、去り行く男の姿から、わたしは目が離せなかった。