「……身分的な問題は?」

「ございません。元々私達は似たような身分ですし、既に陛下には話を通しました。どんな反応をされるか少しだけ怖かったのですが、陛下は私がマリア様の正式な保護者になることを、とても喜んでくれましたよ。
歴代の聖女は孤児が多かったので神殿で暮らしてもらっていたのですが、もしも温かい家庭の中で過ごせるのなら、それが一番だろうと言ってくれました。マリア様はまだ六歳ですしね。
それから、貴女のお父様にも結婚の許しを得ました。あとは貴女に頷いていただくだけです」


 新しい聖女の誕生を祝って沸き起こる大歓声の中、セドリックはわたしとマリアを交互に見つめる。


「私をジャンヌと、マリア様の家族にしてください。
私は貴女を愛し、愛される夫になりたい。マリア様を慈しみ、育てる父親になりたい。
貴女の側で、笑ったり泣いたり、怒ったりしながら、生きている悦びを噛み締めたい。
ジャンヌ、そんな私の願いを、どうか叶えていただけませんか――――?」