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 翌朝、わたしたちはいつものように、参拝客を受け入れていた。
 マリアは神官の中で一番の人気者なので、二日連続で不参加というわけにはいかない。本人は何が起こったか知らないこともあって、とても朗らかにお勤めを果たしていた。


(ホント、マリアはすごくいい子だよねぇ……)


 とてもわたしに育てられたとは思えない。

 今日もマリアは一人ひとりの参拝客の話を聞いて、その悩みに寄り添い、できる限りのことをしてあげていた。

 病に苦しむ人には、痛みを緩和してあげたり、午後に神殿の中に呼んで治療を施してあげている。
 飢えに苦しむ人には、小さなパンを与えてから、満腹感が得られるように祈りを捧げている。

 だけど、人々に力を分け与えることは、かなり気力や体力を奪われるらしく、マリアはいつもグッタリと疲れている。
 自分以外の誰かのために、そんなふうに自分を犠牲にするだなんて、わたしにはとても考えられない話だ。本当にマリアはすごい。偉いと心から思う。

 なんでそんなふうに育ったんだろう? 生みの親のDNAが良かったのかな? だけど、赤ん坊を森に捨てるような人だし、とてもそんなふうには思えないけど。