「ねえねえ、ジャンヌさん。桃太郎はおばあさんのことを『お母さん』って呼んでいたのかな?」

「『お母さん』? さあ、どうだろうね? 
おばあさんは年を取っていたから『おばあさん』なんだろうし。それでも、桃太郎にとっては育ての親だから、お母さんって呼んでいたのかもしれないねぇ……」


 子供ってのは時々よく分からないツッコミをするものだ。このお話のツッコミどころはもっと他に存在するし、そもそもこれは童話で、本当にあったお話ではないのだし。


(ダメだ。色々あって疲れたせいか、ものすごく眠い)


 段々自分がなにを言っているのか、考えているのか分からなくなってきた。


「おやすみなさい――――さん」

「うん。おやすみ、マリア」


 腕にマリアを抱きしめながら、わたしはゆっくりと意識を手放した。